常念岳を望む松本城の絶景には、驚きの秘密が?
2015年02月06日
松本の象徴的な景色、北アルプスの山々。
中でも常念岳は格別に美しく、多くの松本市民に愛され続けています。
その北アルプスと常念岳を望む松本城の景観に、秘密があるんですって。
今回は、その秘密について書いた本を出版した、
松本市の医師で古地図愛好家の、溝上 哲朗さんに、お話をうかがいました。
溝上さんと待ち合わせをしたのは、千歳橋の上。
デートみたい・・・。うふふ。
橋の上のベンチに座って東側を見ると、美ヶ原も、袴腰という名前の山も、
とてもきれいに望めます。
でもね。西側を振り返ると、北アルプスは見えないんです。
「松本の町を歩いてみると、北アルプスってほとんど見られないんです。
特に僕の大好きな常念岳は、なかなかお目にかかれない。
はじめは、高層ビルがたくさん建っているからなのかな?
って思ったんですけれど、昔の地図と照らし合わせてみると、
昔から、町の中では北アルプスは見られなかったようなんです。
東の山はきれいに見える場所がたくさんあるのに、何故だろう?
と思ったのが、この本を書くきっかけでした。」
え~? ほんと~??
にわかには信じがたいお話。なんですが。
溝上さんと一緒に、千歳橋から松本城まで歩いてみると、
どこからも北アルプスは見えないんです。
一か所だけ、常念岳が見える場所があります。大手駐車場のところ。
でも、ここは昔はどうだったんでしょうか?
「千歳橋を渡ったところに、大手門という枡形の立派な門がありました。
で、ここから始まる大名町。偉い家臣が住んでいたところです。
この大手門から外堀までおよそ220メートル。
その間にお屋敷がたった4軒しかなかったんです。
つまりこの道には、とてつもなく大きなお屋敷があって、
当然、塀もとても高かった。
その大きなお屋敷の高い塀が、
北アルプスを隠していたのではないか。」
そういうことなんですね~。
これは、お城もまわりも同じこと。
大名町のつきあたりは、今はお城へ入る正門のようになっていますが、
昔は外堀でした。そんな道はなかった。
右に曲がって、今の市役所の前の太鼓門を通らないと、二の丸へ行かれないんです。
で、この外堀は土塁という土手の上に築かれた土塀で囲われていました。
その高さは6メートルぐらいだったそうです。
つまり・・・。
塀の向こうの景色なんか見えなかったよね、絶対。
お城も北アルプスも。
そこから見えるのは、高い塀と東側の山々だけだったはず。
太鼓門を通って、くねくねした道を歩く。
ここでもまだ、北アルプスは見えないし、
こんなに近くに来たのにお城の姿も見ることができないんですね。
ぐるっと回り込んで黒門の前に来ると正面に・・・
ここで初めて目の前に、
お城の全貌とその背景に屏風のように広がる北アルプスを望むことができるんです。
これね、そうやって見てみると、ビックリしますよ!感動的。
「ね? びっくりでしょ? やっと見られた常念岳なんですけど、
でもこれ、綺麗すぎると思いませんか?」
その景色を見て、溝上さんはそんなことをおっしゃる。
どういうこと?
「この場所は、枡形門を2つくぐらないとたどりつけない、という、
お殿様と大事なお客様だけが来られる秘密の場所なんです。
言い換えると、ここにお城を築いたお殿様が意のままに作ることができた場所。
と考えると、この景色は、客人をもてなすためにお殿様が作った、
サプライズの景色なのではないか。
感動的なサプライズ演出ですよね。」
うわ~~~。なるほど。
どこを歩いても北アルプスの美しい景色は見えないように、
お城も見えないように、町を設計して、
限られた人、殿様や大事なお客様だけに、
この黒門の前で初めて、この絶景を見せる。
想像してみて下さい。絶対感動しますよね!!
ものすごくロマンチックな演出ですよね!!
「この景色は殿様が作ったおもてなしのサプライズ演出だった。
そして、昔から全く変わらない、松本で一番美しい景色である。
そう思って見ると、この景観に対する愛着が、
ますます湧いてくるんじゃないかと思うんです。
ぜひ、改めてこの景色を見て、
ひとりでも多くの人に共感してもらえたら嬉しいです。
その共感が世界に広がっていけば、世界遺産認定も夢ではないんじゃないか、
というのが僕の夢なんです。」
これが、溝上さんが出版した本です。
今日のこのお話の詳細がとってもわかりやすく記されています。
でもそれだけじゃない。
溝上さんの、地域への愛がいっぱい詰まっています。
松本市立博物館、ブックスマルナカ(松本市桐)などで販売しています。
興味のある方、ぜひ読んでみて下さい。
あ。それから。もうひとつ、面白い話。
内堀の渕に松の木があるんですけどね。これがね。
黒門正面から北アルプスを見るにも、お城を見るにも、
ちょっと邪魔というか・・・
写真撮ろうとしても、この松がどで~んと映り込んでしまうんですよね。
この場所はもともとはお堀だったそうなので、
後から植えられたものだということだけは確かなんですけどね。
ちょっとどいてもらえないかしら・・・、って思われちゃう、残念な松。
松には罪はなく、むしろとても美しい形なんですけどね~。
探してみて下さい!
私にしてはアカデミックな話題。かなり賢くなった気がしている、
松本の調査隊員 塚原 正子でした。
中でも常念岳は格別に美しく、多くの松本市民に愛され続けています。
その北アルプスと常念岳を望む松本城の景観に、秘密があるんですって。
今回は、その秘密について書いた本を出版した、
松本市の医師で古地図愛好家の、溝上 哲朗さんに、お話をうかがいました。
溝上さんと待ち合わせをしたのは、千歳橋の上。
デートみたい・・・。うふふ。
橋の上のベンチに座って東側を見ると、美ヶ原も、袴腰という名前の山も、
とてもきれいに望めます。
でもね。西側を振り返ると、北アルプスは見えないんです。
「松本の町を歩いてみると、北アルプスってほとんど見られないんです。
特に僕の大好きな常念岳は、なかなかお目にかかれない。
はじめは、高層ビルがたくさん建っているからなのかな?
って思ったんですけれど、昔の地図と照らし合わせてみると、
昔から、町の中では北アルプスは見られなかったようなんです。
東の山はきれいに見える場所がたくさんあるのに、何故だろう?
と思ったのが、この本を書くきっかけでした。」
え~? ほんと~??
にわかには信じがたいお話。なんですが。
溝上さんと一緒に、千歳橋から松本城まで歩いてみると、
どこからも北アルプスは見えないんです。
一か所だけ、常念岳が見える場所があります。大手駐車場のところ。
でも、ここは昔はどうだったんでしょうか?
「千歳橋を渡ったところに、大手門という枡形の立派な門がありました。
で、ここから始まる大名町。偉い家臣が住んでいたところです。
この大手門から外堀までおよそ220メートル。
その間にお屋敷がたった4軒しかなかったんです。
つまりこの道には、とてつもなく大きなお屋敷があって、
当然、塀もとても高かった。
その大きなお屋敷の高い塀が、
北アルプスを隠していたのではないか。」
そういうことなんですね~。
これは、お城もまわりも同じこと。
大名町のつきあたりは、今はお城へ入る正門のようになっていますが、
昔は外堀でした。そんな道はなかった。
右に曲がって、今の市役所の前の太鼓門を通らないと、二の丸へ行かれないんです。
で、この外堀は土塁という土手の上に築かれた土塀で囲われていました。
その高さは6メートルぐらいだったそうです。
つまり・・・。
塀の向こうの景色なんか見えなかったよね、絶対。
お城も北アルプスも。
そこから見えるのは、高い塀と東側の山々だけだったはず。
太鼓門を通って、くねくねした道を歩く。
ここでもまだ、北アルプスは見えないし、
こんなに近くに来たのにお城の姿も見ることができないんですね。
ぐるっと回り込んで黒門の前に来ると正面に・・・
ここで初めて目の前に、
お城の全貌とその背景に屏風のように広がる北アルプスを望むことができるんです。
これね、そうやって見てみると、ビックリしますよ!感動的。
「ね? びっくりでしょ? やっと見られた常念岳なんですけど、
でもこれ、綺麗すぎると思いませんか?」
その景色を見て、溝上さんはそんなことをおっしゃる。
どういうこと?
「この場所は、枡形門を2つくぐらないとたどりつけない、という、
お殿様と大事なお客様だけが来られる秘密の場所なんです。
言い換えると、ここにお城を築いたお殿様が意のままに作ることができた場所。
と考えると、この景色は、客人をもてなすためにお殿様が作った、
サプライズの景色なのではないか。
感動的なサプライズ演出ですよね。」
うわ~~~。なるほど。
どこを歩いても北アルプスの美しい景色は見えないように、
お城も見えないように、町を設計して、
限られた人、殿様や大事なお客様だけに、
この黒門の前で初めて、この絶景を見せる。
想像してみて下さい。絶対感動しますよね!!
ものすごくロマンチックな演出ですよね!!
「この景色は殿様が作ったおもてなしのサプライズ演出だった。
そして、昔から全く変わらない、松本で一番美しい景色である。
そう思って見ると、この景観に対する愛着が、
ますます湧いてくるんじゃないかと思うんです。
ぜひ、改めてこの景色を見て、
ひとりでも多くの人に共感してもらえたら嬉しいです。
その共感が世界に広がっていけば、世界遺産認定も夢ではないんじゃないか、
というのが僕の夢なんです。」
これが、溝上さんが出版した本です。
今日のこのお話の詳細がとってもわかりやすく記されています。
でもそれだけじゃない。
溝上さんの、地域への愛がいっぱい詰まっています。
松本市立博物館、ブックスマルナカ(松本市桐)などで販売しています。
興味のある方、ぜひ読んでみて下さい。
あ。それから。もうひとつ、面白い話。
内堀の渕に松の木があるんですけどね。これがね。
黒門正面から北アルプスを見るにも、お城を見るにも、
ちょっと邪魔というか・・・
写真撮ろうとしても、この松がどで~んと映り込んでしまうんですよね。
この場所はもともとはお堀だったそうなので、
後から植えられたものだということだけは確かなんですけどね。
ちょっとどいてもらえないかしら・・・、って思われちゃう、残念な松。
松には罪はなく、むしろとても美しい形なんですけどね~。
探してみて下さい!
私にしてはアカデミックな話題。かなり賢くなった気がしている、
松本の調査隊員 塚原 正子でした。