長野県初の○○が生まれた家にいく前にこちらの建物を訪れました。
岡谷市長地にある「郷土学習館」といいます。〇〇とは大臣のこと。
すぐそばにある旧渡辺家から出た三人の大臣の偉業をあらためて研究し伝えていくため、地元の皆さんの寄付により平成11年に建てられました。
・郷土学習館の入り口
旧渡辺家からは三人の大臣が出ています。
兄の渡辺千秋…明治43年、宮内大臣となり皇室の財産の整備に尽力しました。
弟の渡辺国武…明治25年、第2次伊藤博文内閣の大蔵大臣を務めています。長野県出身の大臣第1号です。薩摩・長州出身の大臣が多かった時代の就任です。
千秋の三男で国武の養子となった渡辺千冬…昭和4年司法大臣となりました。
郷土学習館から徒歩1~2分のところに旧渡辺家住宅があります。
この家は昭和29年に当時の長地村に寄贈され、合併により岡谷市へ移管されました。
平成3年に大規模な修理・復元工事が行われ一般公開されています。
渡辺家は高島藩の散居武士(城下町でなく在郷の村々に住んだ藩士)でした。
武士でありながら農業も行ったためこの家にも特徴があります。
修理工事中には壁や襖の下貼りから数千枚の古文書が発見され貴重な資料となっています。
それらの資料は郷土学習館の資料室などに展示されています。
子孫の方々からの寄贈を受けかなり充実してきたとのこと。
郷土学習館の中の資料室
特にお薦めなのがこの屏風。西郷隆盛、吉田松陰、佐久間象山などの書簡が貼られています。
渡辺家は東京へ出てからも故郷に貢献。地元の長地小学校の土地を購入するときも、多額の寄付をしているそうです。渡辺千秋は伯爵になりますが、東京の高輪に大きなお屋敷がありました。
その広大な土地をトヨタグループが購入。日本家屋は取り壊されましたが、あまり使用していなかった西洋館は現在、茅野市の蓼科高原に移築され、トヨタたてしな記念館(非公開)となっています。
渡辺家は元々が分家でした、直系の子孫はだれも地元にはいないそうですが、子孫もたいへん活躍しているそうです。たいへんまとまりの良い一族だったとのこと。現在は六代目までいますが、
四代目までが家系図として公開されています。
渡辺家の家系図
千秋のひ孫にあたる四代目には2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治博士の名前があります。
・郷土学習館ではこの方々が日替わりで説明してくれます。山岡さんは毎日曜日、渡辺家住宅に常駐しているそうです。興味深いお話がたくさん聞けますので、ぜひ皆さんも訪れてみてください。
(左から…鈴木猛館長、研究委員の小口壮介さん、山岡純子さん、宮坂春夫さん、
この日は不在でしたが、岩田恒男さんもいます。)
◇郷土学習館:〒394-0083 岡谷市長地柴宮3-9-3
TEL/0266-26-7545 FAX/0266-75-5281
長地にある柴宮館から300mほど南へ進む。建物前に駐車場あり。
開館日:火・水・土・日・祝日のオープン。まずは学習館で受付をして渡辺家へ。
渡辺家は入館料が必要。おとな310円、こども150円。
ただし、渡辺家住宅のみ冬期にあたる11/4~3/19は閉館。
開館時間:郷土学習館 午前9時~午後5時、旧渡辺家住宅 午前10時~午後4時
諏訪郡市内在住在学の小・中学生、市内在学在住高校生は無料。
諏訪の調査隊員:土橋桂子