さて私、長野市松代町といいますと、このコーナーでは色々調査してきました。
ピラミッド伝説の皆神山(みなかみやま)、温泉のある公民館、
そして今回第3弾として又々松代町の話です。
「70年ぶりに人がいなくなる場所?」と言うことは
それまでは人がいた、それが居なくなっちゃう、なんで?いつから?その場所はどこ?
と言うのが今回の調査です。
松代にはご存じ、気象庁松代地震観測所があります。
場所もう言っちゃってバレバレですけどね。
ではなぜ松代に地震観測所があるんでしょう?
お話しは松代地震観測所 本多誠一郎所長です。
本多所長
「元々は旧日本軍の松代大本営地下壕跡です。
海岸線から遠く波浪によるデータのぶれが少ないので精密な観測に適していることから、
1947年(昭和22年)開設され、海外の微弱な地震波を捉える拠点となりました。
年間を通して地下壕の気温変化が少なく、
(写真は展示用の昔の観測機器)
多くの観測機器は旧日本軍が掘った地下のトンネルに設置されています
(天皇皇后両陛下の緊急時避難場所としても想定されていた)
安定した岩盤なども地震観測に最適だった。」
ということです。
これまでの印象的な地震観測のお話を伺うと。
本多所長
「やはり松代群発地震でしょうか。
それと、北朝鮮の核実験の地震波もとらえる大変重要な拠点だった。
普通の地震とは違う波形が出るので、一刻も早くそれをとらえて、本庁や政府に報告。
警報アラームも鳴り、緊張の瞬間でした。」
それが今後どうなる?
本多所長
「地震処理システムが更新され、東京の気象庁本庁でデータ解析が出来るようになったので
今回約70年ぶりに無人化となり、4月1日からは誰もいなくなります。」
地震観測所はこれまで人気の見学コースだったが
無人化によって今後どうなるのか伺いました。
本多所長
「建物外側から天皇御座所跡などはいつでも見学可能です。
観測所は無人になりますが、年1回開く施設見学会は続ける予定です。
地震の啓発活動には、引き続き力を入れたい。
気象庁のHPや長野市内の公共施設に貼ったポスターなどでお知らせしていきます。」
ということです。
さて松代地震観測所は、複数の地震計データで震源を決定するという、
ここで開発された独自の「群列地震観測システム」という特殊な解析手法を用いていて、
正確な情報を伝えていたんですが又そのため、無人化が遅れていたのです。
(観測作業室。皇后妃の居室になる予定だった名残が上方に見える欄間や天井に残る)
今回、人間の手で行っていた解析業務を本庁に移すことが可能になったことで、
気象庁の全ての地震計の集約化観測所無人化が終わります。
地震国日本の観測システムの新しい時代の幕が開くということですが、
それは、国内唯一の、人間常駐の観測所だった松代地震観測所の人間の手での作業が、
あと3日でその幕を閉じるということでもあります。
職員の皆さんお疲れ様でした。
みなさん地震への備えは怠りなく・根本豊でした